スノウイーターまるきゅー、もしくは雪食うバカです。           エロゲ東方FPS、仄かに漂う厨二臭

SnowEater⑨

Sign:004 Chenge the world | main | Sign:002 老人の話
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Sign:003 夜鷹の砦 旧神の印


Sign003 夜鷹の砦 旧神の印



 ザドック老人と出会った次の日、遊びに来たマガリを送って(マガリは零の部屋の斜め下の部屋に住んでいた)、単身肌寒い屋上に居た。
 今朝、ガンスミスの古い友人に一年前に頼んでいた品が突然の連絡と共に届いた。
 金の使い方の知らない零の唯一といってもいい趣味と、実用を兼ねた一品。
 『ハイランダーE77対物狙撃銃』
 カスタムガンというよりは、殆どのパーツを一から作らせたオリジナルの重火器。弾丸まで特注の『Ragnat弾』を使用。
 有効射程は約2500m。800m以内の狙撃ならば厚さ2mの強化コンクリートでも貫通する怪物だ。
 零はその怪物に備えたれたスターライトスコープを覗きながら、文字通り『閉じた世界』を見ていた。
「……ほう、試し撃ちにはちょうどいい相手がいるな」
 真夜中に蠢く人影。それは日付が変わる前に海の方へと向かい、日付が変わる頃に海から現れる。
 その『存在(カタチ)』を変えて。
「確かに半漁人チックだな……」
 ヌメヌメとした光沢の翠緑色の鱗に覆われたヒトガタの生物を零は肉眼でも認識した。
 そして手慣れた動作でハイランダーに弾を込める。
「あれが手頃か」
 零は一体だけ離れた位置に居る『深きものども』を認め、狙いを定めた。
「上からの狙撃だから重力やコリオリ効果は考慮しなくていいか。風速は辰巳に0.2、距離は約780」
 零は軽く息を吐き出してから、呼吸を止めて集中し、引き金を引いた。
 プシュッとサイレンサーに音を消された弾丸が700メートル先の『深きものども』に命中する。
 その瞬間、『深きものども』の上半身は消失し、下半身も吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。
「ん、すごい威力だな……。さすがにいい仕事をしている」
 ジャキッ
 ハイランダーはボルトアクション式のため、零は次弾を装填するために薬莢を薬室(チャンバー)から排出した。
「………いあいぁ」
 突然の背後からの呻く様な声に零は振り向く。
「む………勘はいいな。もう見つかったか」
 そこには、翠緑色の鱗に水掻き付きの長い鉤爪の『深きものども』が単体で立っている。
「今ある武器はこいつとナイフだけなんだがな・・・・・・」
 零は固定してあるハイランダーを振り向きながら、溜息を吐いて足首に携帯していた軍用のサバイバルナイフを抜く。
 その間に、『深きものども』は距離を詰め、牙を向いて零に襲い掛かる。
「グァッ!!」
 ナイフと鉤爪がぶつかり合い、火花を散らす。
 零はそのまま恐ろしい力で押し飛ばされた。
「ッ!? おいおいマジか・・・これでも鍛えてるつもりだったが……馬鹿力め、上官の形見のナイフがボロボロだ」
 零はすぐに起き上がり、刃が欠けたナイフを眺める。
「随分硬い爪だ…手入れも大変だろうに」
「ふんぐるいぃ…」
 再び迫る『深きものども』。零は息を吐いて集中した。
「ふっ」
 突き出すナイフ、しかし軽くいなされる。当たり前だ、渾身の突きではないのだから。
 零はわざとナイフを手から零し、『深きものども』の両腕を掴んで投げた。
 位置的に団地の下に投げ落とすことは出来なかったが、『深きものども』は不意の巴投げを受けて、距離は離れた。
 そして、『深きものども』が立ち上がる前に零はハイランダーを固定していたボルトを無理やり引き剥がすが早いか、ハイランダーを構えて狙いもつけずに引き金を引いた。
「ヴェゴッ!?」
 不気味な断末魔をあげて、『深きものども』は右肘から先だけを残して吹き飛んだ。
「はあ……、死んだか。…しかしこいつじゃオーバーキルが過ぎるな、もう少し手頃な武器があればいいが」



 やがて『深きものども』達は日が昇る前に海に帰り、人の姿となって現れる。
「不思議な光景だな。それにしても、珍しく今日は晴れか。……そろそろ寝るかな、朝日は目に辛い」





 彼の失った一年

 それは何のためにあったのだろう



 もしかしたらそれは――――

 失ったのではなく、取り戻すための―――



 ―――全ては妄想に過ぎない

 彼は普通の人間で、ただ二重人格が目覚めていただけかもしれない

 しかし、我々は考えずには居られないだ



 まだ成熟する前の青年が失った一年に、どんな意味があったのか



 我々は後に予想する



 彼はそもそも、人間だったのだろうか。と



 彼が人間だった頃を知る者は既にこの世には居ない

 しかし、彼が人間に難いことを知る者なら―――





 零が目を覚ましたのは昼を少し過ぎた頃だった。
 秒刻みで正確だった体内時計と付属の目覚ましも、一年の間にすっかり鈍ったようだった。
「ふぁ…体、鈍ったな……」
 一瞬で意識を覚醒させておきながら、自嘲気味に零は呟く。
 そして、朝食を兼ねた昼食を摂ることにした。
「冷蔵庫に何かあっただろうか?」
 余談だが、零は料理がかなり出来る。
 軍人であったし、またサバイバルも得意なので当たり前と言ったら当たり前だが。



 昼食を終えて、昨夜使用した『ハイランダーE77対物狙撃銃』のクリーニングに飽きて、零は外に出た。昨日の湖に向かうためだ。
 二十数分かけて辿り着いた湖の水面は、揺れずに静寂を保っていた。
「……静かだな」
 ここで昨夜、ザドック老人と零は話した。
 彼は既に、人として死んでいたが。
 溜息を吐いて、零は水面に触れる。すると、凍りつくほどの冷たさの中に、少しだけ懐かしさを感じた。
「ん………ッ!?」
 感傷に浸る間もなく、右目の奥に走る激痛。気が付けば、零は右目を抑えていた。
 そして強大な気配を湖面に感じる。何かが、居る。
 左目で見えなくとも、手で覆った右目はそれの存在を確かに感じていた。
「なん……」
 それを『観測(み)』た瞬間、零の瞳の痛みが熱さに変わる。
 じりじりと、灼かれているような痛み。
 零は右目から手を離し、湖面に寄って覗き込む。
「なん、だ…? これは……」
 鏡のように映る湖面に、灯が揺らめいている。
 ―――零の、瞳の中で。



 それを『旧神の印(エルダーサイン)』と人は呼ぶ。
 五本の光芒で形作られた星の紋章の中心に、目のような火柱が燈った『旧支配者』と敵対する『旧神』の紋章だ。
 地球の神である『旧神』の印には、『旧支配者』を退ける効果あると言われていた。
 それが、不規則に線を歪めながら零の右目に存在している。
「目が、灼けるよう…だ……」
 再び零は目を押さえる。
 想像を絶する激痛。まるで眼球の変わりに火の玉でも入れられたかのような熱に零は倒れこみ、もがいた。
「ふ、…くあッ……どう、やったら・・・鎮まん、だ? これ……ッ」
 いっそ、湖の中に飛び込むか。と零が決意した瞬間、一気に熱が引いた。
「…零、さん?」
「……あ?」
 気が付くと、傍らにマガリが立っている。マガリは心配そうに零の顔を覗き込んでいた。


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| 小説 | 00:55 | トラックバック:0コメント:0
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