スノウイーターまるきゅー、もしくは雪食うバカです。           エロゲ東方FPS、仄かに漂う厨二臭

SnowEater⑨

Sign:005 這いよる混沌 | main | Sign:003 夜鷹の砦 旧神の印
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Sign:004 Chenge the world


Sign004 Change the world



「……ここは?」
 マガリに連れられ、零が辿り着いたのは、エンダージュ湖の奥に茂る森の中、その不覚にポツリと存在するログハウスだった。
「画家だった祖父が使っていた小屋なんです、少し古いですけど……」
 勧められて、零は足を踏み入れる。
 中には簡単なキッチンとベッド、開いたスペースには画材スペースが散乱している状態だった。
「父方の祖父はそびえとの人だったので、私は一応くぉーたーなんですよ」
 父方の祖母がどいつの人で、母方はふぃんらんどでしたか。と首を傾げながらマガリが笑う。
「こーひーでも飲みますか? …さすがにどんぐりのこーひーはありませんけど」
「…何だそれは?」
「あれ? 祖父が極東の島ではどんぐりでこーひーを作るって言ってたんですけど、日本のことじゃなかったんですかね?」
「いや、作れなくはないだろうが…聞いたことはないな……」
 あれれー? と首を傾げながらコーヒーを淹れるマガリ。
「どうぞー」
 マガリがコーヒーを手渡す、普段零は紅茶派なのだが、まあたまにはいいか、と。そして、零がコーヒーを受取ろうとした刹那、右目の痛みの中で意図せずに触れた手が、彼を『ワンダーランド』へと引き込んだ。





 目覚めた時、零は夜中の自室に居た。
 零は体を起こすと、カレンダーを確認する。
 また、何年か『喪失』したのではないかという念に駆られてのことだ。
 カレンダーを見る限り、少なくとも年月は経過していないように思える。
 窓から空を見ても、月の満ち欠けは昨夜からあまり変化がない。どうやら少し気を失っていただけのようだ。
「はあ……」
 安堵の溜息を吐いて、時間を確認しようと時計を見た。
 時刻は十一時十七分。
 しかし、秒針が全く時を刻んでいない。
「……壊れているのか?」
 あまり気にもせず、零は再び外を見る。
 集合団地の棟と棟の間ある小さな公園。遊具の近くに植えられた樹の木の葉が全く動いていない。
 多少なりとも人為的に風を発生させているというドーム内ではありえない現象。
 その景色を見て、この世界の異常さに零はやっと思い至った。
「…時が、静止しているのか?」
 そう静かに口にした時、まるでSF映画のワンシーンのように、世界が剥がれていく。
「なん、だ?」
 鱗が剥がれ落ちるように、闇が広がり変わっていく世界。
 気が付くと、零は見下ろしていたはずの公園に立っていた。
 しかし、そこは先ほどまでの公園ではない。
 傍らにある樹は枯れ果て、あるいは腐り朽ち、そして青々と葉を茂らせている樹まであった。
 一方向ではなく多方向に、さらに自由な速度で時が進む世界。
 腐り朽ちた樹はやがて影もなくなり、青々としていた樹はどんどんと縮んで、いつか芽となり、やがて消えた。
 そんな世界の中心に『それ』は居た。
 子供のようなシルエットの存在。
 痩せこけ、ミイラのように干乾びた体。
 遥かなる時の加速化によって近くの時間の流れを歪ませるという『それ』を、零は母の残した書物の記述に記憶していた。
 曰く、『クァチル=ウタヌス』。
 クァチル=ウタヌスが現れる時、不自然なまでに時間の流れが変貌する、と。
「……何でこんなところに」
 零の呟きなど意にも介さずに、萎びた棒切れのような足で、クァチル=ウタヌスは零に近付いてきた。
 すると、零の指先に次第と皺が刻まれていく。
「おいおい…」
 クァチル=ウタヌスが近付いてくる毎にそれは加速し、やがて髪にも白いものを帯びてきた。
 奴は永遠の命を持たない生物にとっての死神となり得る。ただの人間に逃れる術はない。
 目と鼻の先までクァチル=ウタヌスが近付く。そして、細い指先を伸ばした。
 その時、零はもう立っても居られないほどに体は老化していたが、右目の奥の痛みだけは、逃れられぬ運命のようにいきなり襲ってきた。
 そして、クァチル=ウタヌスの指先が零に触れる。
 刹那、零は意識を再び手放した。





 次に目覚めた時、零は再び自室に居た。
 ベッドから体を起こし、自身の体を眺める。
「体は戻っているな」
 右目の痛みも消えていたので、零はベッドから降りて窓の外を見た。
 外の公園では、風が枯れた木の葉をそよがせている。
「…俺は夢を見ていたのか?」
 呟いて、零は時計を確認した。
 十一時十七分。先ほどと変わらない時刻だ。
「……とりあえず、外に出てみるか」
 零は長袖のワイシャツの上に黒いロングコートを羽織り、外に出た。



 そして、何となしに立ち寄ったこの前の酒場の前で、零は『それ』を見つけた。
「………じいさん」
 『彼』とは呼べないまでに変貌した姿の老人、ザドック・アレンがそこには打ち捨てられていた。
 蛆虫や蝿に集られ、腐臭を放つザドック老人だったものは、つい昨日の死体ではないようにも思えた。
「やっぱり逃げられなかったんだな、あんたは…」
 零は溜息を吐いて、そこから離れようとした。
「くっ!?」
 不意に、右目に激痛が襲う。
 もう今日は何度目になるだろうか、目の奥が灼けるような、その痛みは。
 そして再び、零の意識は深い闇へと落ちていった。



.the day dream[Chaos]



 深く渦巻く混沌。
 光と闇、あらゆるのもが入り混じった原初のカタチ。
 その混濁に溶け合うようになにながらも、零は自己を保っていた。
「(ここは、どこだ?)」
 万物の溶け合ったプールのような流れの中に、零は居た。
 深い混沌の中で、零は目を閉じる。


.the day dream[Yellow kings]



 そして、次に目を開いた時、零は深い夜のエンダージュ湖の中心に立っていた。
 湖の上に、足を着けて。
「ん?」
 顔は仮面のようなものが覆っており、右手にはコルトパイソンのような銀の回転式拳銃が一丁。体にはボロボロのマントローブが全身を覆っていた。
 よく状況がわからず、とりあえずと言った感じに零は湖岸に向かって歩き出す。
 歩く度、湖面には波紋が広がっていく。
 湖の上を歩く不自然さを、零は何故だか自然に感じていた。
 顔を覆う蒼白な仮面も、何故か邪魔には感じない。
 黄色のマントが風に靡くのも気持ちがいい。
 しかし実際問題、仮面を着けながら湖の上を歩くのは常軌を逸しているのではないか、と零はまともな思考に辿り着いた。
「む…?」
 そして仮面を外そうと、零が左手を伸ばすと仮面は砂のように溶けて消えた。
「はあ…、便利なものだ」
 右手に無造作に銃を持ったまま、零は湖岸に降り立った。
 左方には深い森が見える。
「ログハウスに寄ってみるか。これが現実とは思えんが……現実だったらまだマガリが居るかもしれな―――」
 ザッ
 零が森に向かおうとしたその時、森から人影が現れた。
「あれ、零さん…ですか?」
「…マガリ、か?」


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| 小説 | 00:56 | トラックバック:0コメント:0
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