スノウイーターまるきゅー、もしくは雪食うバカです。           エロゲ東方FPS、仄かに漂う厨二臭

SnowEater⑨

Sign:007 時を超えて語るもの | main | では、よいお年を。
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Sign:006 冥妃



 零はグレネードランチャーに変形したペルセフォネを両手でキャッチすると、木の陰から飛び出した。
 その瞬間、零の隠れていた木が横に真っ二つに切り裂かれる。ニャルラトホテプの触手の横薙ぎだ。
「確か、ニャルラトホテプは火に弱かったはずだな…」
 零は腐葉土の上を転がりながら、狙いを定めて放った。
 スポーン! という小気味のいい音を立てて、弾が飛び出す。
 弾は重力に従い、回転しながらニャルラトホテプの足元に着弾した。
「………ん?」
 瞬間、弾は一瞬で灰色の煙を一帯に撒き散らす。
「目隠し?」
 首を傾げるニャルラトホテプを尻目に、零はとっとと退却した。
 深い森の更に深くに進んでいく。
「多少は時間が稼げるか?」
「人間の姿でいるうちはね。本来の姿は目というか顔が無いし、多分無駄よ」
 ペルセフォネの返事に零は小さく頷き、目的の場所を探す。



「鬼ごっこってところかな」
 ニャルラトホテプはゆっくりと三十秒数えてから移動を開始した。煙幕弾が煙を吐き出し終えてから、十秒ほど経った頃だ。
 あの人間が何を考えているのか、そんなことには興味も無いくらいニャルラトホテプは余裕だった。
 そもそも存在としての格が違う。相手に『旧神』の味方が付いているとはいえ、ここは夢の中。ホームグラウンドだ。
「しかし、そろそろ鬱陶しいね」
 ニャルラトホテプは、体の表面を絶縁質に変化させ、空からの雷撃をシャットアウトする。
 『千の貌』の異名を持つニャルラトホテプにとって、こんなことは朝飯前だ。
 そして、雷撃を放っていた主の方向へ、威嚇にありったけの咆哮を飛ばす。
「じゃあ、追おうか」
 熱量、匂い、音の全てが零の位置を特定させる。『闇に吠えるもの』ニャルラトホテプ。その能力は常人には計り知れない。
 そして、その方向へ遠く幾本もの触手を伸ばそうとしたとき、光を感じて上を見上げると、一斉に空が輝いていた。
「あれは―――。……噴射炎?」



 その数十秒前、ペルセフォネは空に舞っていた。
 ごく細かいパーツに分離し、そして体積を肥大化させていく。
 その瞬間、ニャルラトホテプの叫びが零たちにも届いた。
「ん……」
 零は冷静に耳を押さえ、ペルセフォネの変形が完了する時を待つ。
 やがて零の周囲にはトラックのような車両が大量に集まっていた。その数、約二十台。
 零が捜していたのは、それが適うような広場。
 トラックの荷台は全て特殊な形をしており、運転席から延びたコードが、零の手元のノートパソコンに収束している。
「零!」
「ああ」
 零は変形が完了すると共に、ノートパソコンに各種の情報を入力していく。
 軍事衛星から送られてきたここ一帯の航空写真に、ポイントを入力していく。
 そしてその瞬間、天を穿つかのようにトラックの荷台がせり上がる。
「周辺情報、入力完了。バレルオープン」
 そしてそこから伸びるのは短SAMと呼ばれるタイプのよくイージス艦に積まれるミサイルの弾頭。
 零は、躊躇せずFireキーを押した。
「無差別飽和攻撃、開始。…火の矢に焼かれろ、邪神」
 数多のミサイルが尾を引いて、前方の森へ向かって、飛翔した。



Sign006 冥妃



「…やったか?」
 零はペルセフォネを元の回転式拳銃に戻してから数本の木々を抜け、平地の如く変貌を遂げた火の粉舞う荒地へと足を踏み入れる。
 クレーターがいくつもの層をなし、まるで流星群がそのまま降り注いだかのようだった。
「いえ、…まだのようね」
 ペルセフォネの冷静な声と共に、零の右目が熱い痛みを取り戻した。
 よく見ると、溶けた絶縁体を身に纏ったヒトガタが立ち上がろうとしていた。
 零はすぐにペルセフォネを上に投げ、瞬間ペルセフォネがショットガンへと姿を変える。
 想像した銃は「大字(デーウー)」。誰が何のために考えたのか、フルオート機能を有したショットガンだ。
「しぶといな…」
 零はダッシュで2mの距離まで駆け寄り、腰溜めの体勢で引き金を引き続ける。
 一発の威力だけでも人間が吹き飛ぶショットシェルを至近で二十連発だ。
 ニャルラトホテプの体は見るも無残に砕け、零の右肩の骨にもヒビが入った。
「む、ぁ……」
 しかし、まだニャルラトホテプは死なない。絶縁体の体は黒く溶け、ショットガンの乱射を受け、マガリの面影などもう無いに等しかったのだが。
 死なない、それどころか。
「…夢の中とは言え、流石は邪神ね」
 すぐに人とわかるシルエットまで再生する。
 しかし、シルエットのみだ。
 体は真っ黒で筋肉質、両腕は無く触手が生えている。首からも太い触手の先のような奇妙に曲がった円錐のようなものが生えていた。
「真の姿って奴か?」
 零はペルセフォネを戻して距離をとりながら冷静に呟いた。
「まだ人に近いサイズなだけ、ありがたく思わなきゃね」
 零は先の広場は避け、まだ木々の残る樹林に退却する。
「ま、あなたのとはいえ夢の中だし、流石に分が悪いわね」
 夢の中で人を発狂させるのはクトゥルフとハスターの専売特許だと思ってたけど。とペルセフォネはどうでもいいことのように告げた。
「とりあえず、ノーデンスとかヒュプノスあたりが来れば夢からは覚めるんだけど」
「そ……ッ!?」
 零は殺気を察知して咄嗟に身を低くした。
 真っ二つに折られる樹には目もくれず、たったか逃げ出す。零は騎士ではない、だから矜持(プライド)なんかよりは生命(ライフ)優先だ。 
「それ、なんだが」
「ん?」
 零は100mを60kgの装備付きで十三秒弱で走り抜ける黄金の俊足で駆けながら右手の回転式拳銃に問う。
 たまに触手が飛んでくるが気にしない。
「お前、ペルセフォネって名乗ったよな」
「ええ」
「で、ニャルラトホテプに敵対してるノーデンスに、ギリシャ神話の眠りの神ヒュプノス。この感じでいくとさっきの雷は」
「ゼウスだけど?」
 やっぱりか、と零は思った。
「…冥府の神ハデスの妻のペルセフォネなのか? 本物の」
「うーん、あの根暗には三行半を叩きつけて出て来たんだけどね。まあそういうことになるのかしら」
「ギリシャの神が何でソビエトの地で日本人を助けてるんだ……。まあ、夢だしな」
 零は納得して、再び木陰に息を潜めた。
「私達は『旧神』って呼ばれているわ」
 ふと、ペルセフォネがそんなことを言い出す。
 『旧神』というのは、ニャルラトホテプら邪神、主に『旧支配者(グレートオールドワン)』と呼ばれる者たちに対抗する地球由来の神だと、零は母の資料で知っていた。
「ま、ノーデンスの仲間ならそうなんだろうが…」
 ノーデンスはその中でも有名な、ニャルラトホテプを倒すためなら人間に協力することもあるという、『旧神』だ。
 ふんふんと零は頷きながら、ゆっくりと姿勢を起こす。
「さて、どうするかな」
 零が呟いた刹那、少し大きな薄い金色の蜘蛛が手の甲に乗った。上の枝から糸で降りてきたのだろう。
 陸を這う蜘蛛というよりかは、脚の細く長い蜘蛛の巣を張るタイプの蜘蛛のようだ。
「あら、アリアドネじゃない」
 不意にペルセフォネが声を上げた。
「知り合いか?」
 零は怪訝な表情で手の甲の蜘蛛を見つめる。というかまともに人の姿をした奴は居ないのか? と。
「こんばんわ…。手伝っても……いい…?」
「ええ、勿論よ。助かるわ」
 零の同意も得ずにペルセフォネは返事をすると、アリアドネと呼ばれた蜘蛛は零の右の瞳に覆いかぶさり―――
「お邪魔…します…」
 瞳の中に吸い込まれるように溶けて消えた。
「うおっ!?」
 流石の零も目を覆う。来るであろう痛みに耐えようと零は声を出すが、いつまで経っても痛みはこない。
 それどころか、慢性的な目の痛み、熱さが段々と和らいでいくようだ。
「ふふ……この眼…邪神に……反応してる…みたい……」
「ああ、中和してくれたのね。ナイスよ、アリアドネ」
「お安い御用…。ふふ、いいわね……若い…男の体って」
 正直助かったと零は思う。実はずっと瞳の奥の燃えるような痛みで、戦闘に集中出来なかったのだ。…後半の言葉にはゾッとしたが。
「どうかしら? いけそう?」
「ああ、楽になった」
 じゃあ、反撃開始ね。そう、ペルセフォネは呟いた。


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| 小説 | 22:51 | トラックバック:0コメント:0
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