スノウイーターまるきゅー、もしくは雪食うバカです。           エロゲ東方FPS、仄かに漂う厨二臭

SnowEater⑨

Sign:013 Fisherman's Blood | main | Sign:010 夢から覚めて
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Sign:012 深きものども


 真砂たちが来てから、更に二日ほど経ったある日、零はマガリと共にエンダージュ湖近くにある森の中、マガリの祖父のログハウスに居た。零はログハウスを多少増設し、倉庫を作り、そこに缶詰などを大量に保存していった。
 もう、零の心は決まっていたのだ。自分が戦場でしか生き得ない生物であろうことも疾うに理解していたし、だからこそ残されるマガリのために安全地帯を確立し、食料を確保していた。
 自分は去る、真砂たちと共に。だからこの数日はマガリのために過ごそう、と零は考えていた。
「はあ……」
 ようやく安心できる量の缶詰や保存食を運び入れて、零は一息ついた。ちなみに中心地からは途中に打ち捨てられていた軽トラを拝借して運んだ。
「お疲れ様でした」
 マガリから熱い紅茶を受取って、零は少し啜った。
「いや、すっかり体が鈍ったものだな。これではあの三人ともし戦闘になっていたら辛かったかも知れん」
 一人は『宣告者』だと言う話だったし。と零は心で呟く。
「戦闘って……零さんはうちの祖父みたいな毎日を送っていたのですね。うちの祖父も一個中隊くらいなら潰せると言われたらしいですが」
「中隊って、マジか」
「私の角は祖父ゆずりですからね」
「ああ、魔族とやらのか。なるほどな」
 零は不意に右目を抑える。この眼の力、使えば大隊くらいは殲滅できるか、とも考えた。
「しかし、鍛えるに越したことはないな……残りの滞在日数も少ないし」
「…やっぱり、零さんは行ってしまうんですね」
 寂しそうに、マガリが言う。
「ああ、だがいつか戻ってくる。それまで、生き抜いてほしい」
 零は飲み終えたティーカップをテーブルに置くと、腰のペルセフォネを抜いた。
「出来るだけ安全は確保してから行く、今日はハンティングに興じるとしようか」
 先に告げた言葉の恥ずかしさを紛らわすためか、零は席を立った。





 このゲート398「エンダージュ」は閉鎖された港のある海側、森とエンダージュ湖のある山側、そして零とマガリの居住区がある、ゲート外の原発が近い町側と店や行政などがある中心部に分かれている。
 この数日、零の調べたところでは『深きものども(ディープワンズ)』は港の近くや居住区に多くいるようだ。とりあえず零は港へと向かう、『深きものども』は海に帰る半魚人的な特性を備えたものだからだ。
「マガリ、寒くないか?」
 防寒具で身を固めたマガリは、手袋をはめて拳銃を握った手を震わせていた。手袋はもちろん防寒の意味もあるが、基本的に寒い地域では銃を長時間握っていると金属に皮膚がくっついてしまうため、それを防ぐ意味合いがある。
「うう、零さんこそ…」
 零は白いワイシャツにジーパン、それに黒いロングコートを羽織っただけという、冷凍庫の中のようなドーム内にはふさわしくない格好だった。
「しかし、別にマガリは来なくてもよかったんだぞ?」
「いえ、零さんだけに人殺しをさせるわけには…」
「俺なんて今更だがな。まあ、護衛対象が居れば身も引き締まるか」
 零は左手にペルセフォネ、そして右手には抜き身の軍刀を掴んでいた。この軍刀は零のベッドの下を強制検査したマガリのお手柄である。
「護衛対象って、もしかして私は足手まとい…?」
「もしかしなくてもな」
「はうっ…!」
 戦慄するマガリに、零は溜息を吐いてから、意識を集中させた。
「…ほう、いるな。まだ昼過ぎだというのに」
「それは『深きものども(ディープワンズ)』ってやつがですか?」
「ああ、しかしかなりの数だな。これを一人で…というのは辛いかもしれん」
 どうするか、と零が呟いたとき、後ろから車の音が響く。
「どうもー」
 軍用のバギーの上から真砂が呼びかけた。どうやら零を勧誘に来た三人組らしい。
 真砂たちはバギーを降りると、装備を抱えて零の前にやってきた。
「こんにちは、答えは決まりましたか?」
「ああ、決まってはいる。が……できれば彼女の安全をある程度確保してから行きたくてな、制限時間いっぱい使わせてもらう」
「それなら構いませんよ、かくいう私たちも統一連合軍からはここの安全確保を任されていましてね、人一人の勧誘に結構輸送費がかさんでいますから、他国へはエンダージュの『深きものども』の討伐という任務で偽っているんですよ」
 ですから、多少は成果を出しておきませんと。なんて言って真砂は笑った。
「俺一人のために余計な苦労をしているな…」
「ま、一騎当千の猛者が『宣告者』でも無いとは他国の上層部も思っていませんから」
 言って、真砂は零たちの装備を確認する。
「それにしても、討伐というには物足りない装備ですね、お貸ししましょうか?」
「いや、いらん…こちらは狩り(ハンティング)だからな。それよりもそちらのクルス曹長とエイブン准尉を彼女の護衛に付けてもらっても構わないだろうか?」
「俺は構いませんよ」
 クルス曹長の言葉を受けて、真砂がエイブンの方を向くとエイブンは軍用ライフルをしかと構えて頷いた。
「いいそうですよ」
「そうか、ありがとう。…それにしても、彼は喋らないのか?」
 マガリの後ろに付くエイブンを眺めながら、真砂に尋ねた。
「ええ、聾唖(ろうあ)なんです。『宣告者』は神からの神託を受けたもの、というのはご存知ですよね」
「まあ一応な、俺らのときにはエースとして扱われていたものだから」
「基本的に戦闘には向かない敬虔な信者とか神に救いを求めた障害者の方に多いみたいですね、やはり神も人の行いを見ているということなのでしょうか」
「なるほど、では俺に神託が賜ることはなさそうだな……そろそろ始めるか」
「ではクルス曹長とエイブン准尉は彼女、えっと」
「…マガリです」
 視線を受けて、マガリはおどおどと礼をした。
「マガリさんの護衛をしながらということで、白井少尉は私とでいいですね?」
「異論は無い」



[こちらブラヴォー、波止場に到着した]
「了解です、こっちはメインストリートで『深きものども』と思われる敵影を六体確認、交戦に入ります」
 真砂はインカムで応答しながらも軍用ライフルのセーフティーを外した。
「しかし、見た目は普通の人みたいですけど。撃っていいんですかね? あっちはエイブン准尉が感知できますけど―――」
 真砂が隣の零に尋ねた瞬間、銃声が響いた。
 正面でゆらゆらと歩いていた人物の腹が爆発したかのように吹き飛ぶ。
「首周りにエラのような深い皺が刻まれてるのは例外なく『深きものども』だ、躊躇するな」
「今のってダムダム弾ですよね? 条約違反ですよ?」
「人類以外との戦闘に条約もクソもあるか、いいから援護しろ」
 零はペルセフォネを腰に戻して軍刀を両手で掴み、こちらに向かってくる多数の『深きものども』の元へと駆ける。
「了解ですっと」
 真砂も零が向かった方向へライフルを構え、200m程先の敵に心臓と頭を狙ったダブルタップで確実に仕留めてゆく。
「はあ…ッ!」
 零も集まって囲んできた『深きものども』の頭を一薙ぎで数多刎ね飛ばす。
ザザッ[こちらブラヴォー、エイブン准尉が8Kill目、やっぱり『宣告者』はすごいっすね]
「こっちは今、合計23……白井少尉がどこのアニメの侍ですかって感じですね。あ、今27っと」
 真砂は瞬時に太股に挿しておいた軍用ナイフを抜いて、後ろから迫っていた『深きものども』の眉間に深々と突き刺した。
「…これで28ですね」
[おっと、そりゃすごい。こっちも海を背にがんばりますよっと]
「ええ、任せたわ」
 真砂が通信を終えて、『深きものども』の眉間からナイフを引き抜き振り返ると、目の前に零が立っていた。
「ここは片付いた、市場の方に向かう」
 零は軍刀を一振りして血を払い、鞘に収めた。背の先には30を越える『深きものども』の死体の山。
 これが戦鬼と恐れられ、他国の外交手腕によって個人の戦力差の少ない空軍に追いやられた人物の力なのか、と真砂は戦慄しながらも答える。
「…あ、はい、了解です」


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| 小説 | 22:55 | トラックバック:0コメント:0
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