スノウイーターまるきゅー、もしくは雪食うバカです。           エロゲ東方FPS、仄かに漂う厨二臭

SnowEater⑨

Sign017 赤竜、地に堕ちて | main | 解せるッ! 南無三!
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Sign016 運命の出逢い



「到着しましたよ、隊長」
「ん……ああ、そうか」
 零は若い兵士に声を掛けられ、軍用ヘリの中で目を覚ました。
 この兵士は軍用ヘリの操縦士であり、わざわざ起こすために零しか居ない後部座席にやってきたようだった。
「…ありがとう」
 零はシートベルトを外し、ペルセフォネだけを腰に着けて大地に降り立った。
 眩しい日差しに、目を細める。白い砂浜の海岸線に軍用ヘリは着陸していた。本来なら海の照り返しがあるはずだが「暗黒海流」の淀んだ海は太陽光を反射することはない。
 零は近くの集落へと単身で向かった。今回ギリシャに移動したのは戦闘のためではなく、ある人員の回収のためだ。
 白い土壁の家が並び立つ集落では、こんなご時世だというのに子供が走り回っていた。
「あー、誰かきたよー!」
 サッカーのパス回しをしていた子供たちが、零を視界に捉えて近付いてきた。
「おにーさん、何しに来たのー?」
「誰かさがしてるのー?
「ぐんのひとー?」
「……ああ、希崎エンジェルという人物を探しているんだが。 知っているか?」
 零はとりあえず当初の目的通りに尋ねてみる。…のだがどうにも子供の相手は苦手だった。
「知ってるよ!」
「きょーかいにいるよー!」
「そ、そうか……ありがとう」
 挙手して答える元気な子供たちに囲まれ、零は少し焦る。
 ふと思い出して、零はサイドポケットからいくつか柑橘味ののど飴を取り出し、子供たちに与えた。
「あー! ありがとうー!」
「じゃーねー! おにーさん!」
「ああ………はぁ」
 喜んで去っていく子供たちを見て、零は深く溜息を吐く。
「らしくないわね、あなたが焦るなんて」
 ペルセフォネの声が人の居なくなった路地に小さく響く。
「しょうがないだろ、子供は昔から苦手でな。 どう接したらいいのかわからん…」
「しかし、懐かしいわね。……ここは私の生まれた国だから」
「ああ、そうか……ギリシャ神話の神格だったなペルセフォネは」
「……うん」
 それきり、ペルセフォネは喋らなくなった。零としても自分から話題を提供するようなコミュニケーション能力は持ち合わせていないので、子供たちの言っていた教会を探す。
 幸い、目立つ鉄の十字架が大きく屋根に掲げられていたので教会はすぐに見つかった。それにあたりの建物の中では一番の大きさだったこともある。
 大きな木製の扉を開いて、零は中に入る。
 その瞬間、ツンとした匂いが鼻についた。最早嗅ぎ慣れた、時間の経って酸化した血の匂い。
 それは辺りに床に敷き詰められた毛布や、塊になって放置された使用済みの包帯などから漂っているようだ。
 この教会は、恐らく野戦病院のように使われてきたのだろう。
「ん………あ、」
 そして、奥の長椅子に一人、佇む少女の後姿があった。薄い金色の短い髪の、軍服を纏った少女。
 教会という神聖な場所で、神に見放されたとしか思えないこの血の匂いの中で、祈るように俯く少女の姿は幻想的でさえあった。
 彼女こそ、零の探していた人物だろう。
 人の気配を感じてか、零の呻きを聞いてか、それとも運命に導かれてか、少女は椅子に座ったまま振り返る。
 後にそれこそが、零の人生に深く関わる『出逢い』だったと言えよう。



 Prologue Second.




Sign:016 運命の出逢い





「あれ…?」
 少女は振り返って零の姿を視認すると、とぼけた声を出し、神秘性は一気に崩れた。
 しかし、慌てた様子でこちらに向かう少女はまるで小動物のようで愛らしく、微笑ましい。
「ど、どうも…」
 少女は零の前まで来ると、ビシっと背筋を伸ばして敬礼した。
「要請に預かりまして待機しておりました『生命の宣告者』、希崎エンジェル曹長でありますっ」
 ガチガチに緊張した様子の少女に、零は苦笑いを浮かべながら敬礼を返す。
「ACES部隊所属、白井零中尉だ。今回の作戦からは君の力を借りようと思っている……よろしく頼むぞ、希崎曹長」
「あっ、はい! ……あのぅ」
「何か…?」
「私のことはアンジェと、気軽にお呼び付けください。皆さんそうしますので」
「わかった、よろしく頼む。 …アンジェ」
 言われたとおりにそう呼んでやると、アンジェは向日葵の花が開いたように、ぱあっと笑顔を浮かべた。
「はいっ、よろしくお願いします、白井中尉」
「俺も零でいいぞ…? 元より階級などには固執せん性質でな」
 階級などはこのご時世、ただ生きるべく戦っていたら、勝手に上がるものだ。上官も部下もどんどん死んでいくのだから。
「では、零さんとお呼びしても?」
「…ああ、それでいい。 作戦時間が迫っているな、急ごうか」



「アンジェはウルタールの生まれだそうだな」
 軍用ヘリの中で、零がアンジェの情報を確かめる。ウルタールは次の作戦区域なのだ。
「はい、えっと……ですから私が呼ばれたのだと思ったりしていたのでありますが…」
「…それもあるが、基本的に俺個人で召集する場合は能力重視だ。 希崎曹長…いや、アンジェは素晴らしい狙撃技能を持っていると聞いてな、自分の背を預けられる人物を求めていたもので、それで目に留まったんだ」
「いえ、零さんには到底及びませんよ……私も噂はかねがね、といった感じでありますから」
「2000m級の狙撃を可能にする少女が若干17とはな、若さというものには驚かされる」
「零さんも二つしか変わらないじゃないですか…」
 ちょっと照れたようにアンジェは答えた。狙撃は零も得意とするところで、草むらなどに偽装するギリースーツを用いた単独任務を好むのだ。ただし、上層部からは中規模部隊の指揮や小隊での強行突破などの任務を任されることが多いが。
「それになんと言っても残り少ない『宣告者』だからな……俺にとっては要請が通ったのは僥倖と言ってもいい」
 『宣告者』というのは、神託を受けた人間の総称であり、邪神の眷属に対応し得る能力を持った人間のことである。
 前に真砂の話にも出たように、信仰の厚い人間に多く、大概の者は特殊能力と高い運動能力を得る。しかしそれゆえに軍に召集され、難局に当たらされることが多いため、一時期は800人ほど居た『宣告者』も今は40人を切っているらしい。
 アンジェも『生命の宣告者』という二つ名を持ち、周囲の人間の生命力を増幅させるという能力を有していた。
「私はどちらかというと運動能力が高いほうで能力はおまけみたいなものなんですけどね。 そこまで広範囲に届くわけではないですし…」
「ん、そういうのがあるのか」
「はい、特殊能力に秀でた方は運動能力はあまり高くないみたいですし、私は運動能力に割り振られているみたいなので、近くの数人にしか目に見えるような効果は出ないのでありますよ」
 確かに、2000m級の狙撃ともなると、普通の人間とは違った感覚が必要になるのは確かだが。
「まあ、なんにせよ頼りにはしている。 アンジェが望むならば、次の任務以降も俺に付くことは出来るが……その話は無事に次の作戦を乗り切ってからだな…」
「心配などはしていませんよ、零さんと共同作戦を行った『宣告者』の生存率は100%と聞き及んでいますから」
 あなたを信じてます、と言わんばかりな目をされて、零は顔を逸らした。
「死なないだけで、傷は負うんだが。 それに、そんなに俺を頼りにしているとアンジェこそ初めての一人になるかも知れん……次の任務は魔竜退治、楽観出来るような内容でないのは確かなのだからな」
「はいっ、がんばります!」


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| 小説 | 23:11 | トラックバック:0コメント:0
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