スノウイーターまるきゅー、もしくは雪食うバカです。           エロゲ東方FPS、仄かに漂う厨二臭

SnowEater⑨

そろそろタイトルネタも無くなってくとぅるー | main | Sign019 ウルタールの猫
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Sign020 四眼の白雷



 零は縦穴の上でイタクァを待っていた。
 赤土は風で巻き上がり、砂塵を形作って全てを隠すが、イタクァはこちらを感じているだろう。こちらもまた殺気によってイタクァの位置を悟っていた。
「…………」
 少しでも集中を途切れさせると、右手の風は散ってしまいそうだった。零の中のハスターの血は、それほどまでに弱いものだ。
 やがて、砂塵の中に巨人のシルエットが映る。
 零はそこ目掛けて、風の球体を投げた。
「は……ッ!」
 球体を追って、砂塵が開く。そして零は再び垣間見た、翡翠色の巨人の姿を。
 風の球体はイタクァに向かい、そしてかき消された。そのまま、イタクァは直進を続ける。
 零は逃げ出すように後ろに下がった。そして、ペルセフォネを抜いて上空に放る。
「バレルオープン、グレネードランチャー」
 やがて、その時は来た。イタクァは縦穴のある荒野の上に立ち、零に向けて巨大な腕を伸ばしてくる。
 零はその腕を交わすこともせず、グレネードランチャーに変化したペルセフォネを構え、イタクァの立つ地面を撃った。
 榴弾は地面に当たった瞬間に破裂し、傘のように広がっていた地盤を打ち砕く。
「…………ッ!!?」
 文字では表現できないような、冒涜的な低いうめき声を上げ、イタクァは崩れた縦穴に嵌った。
「行きますじゃ!」
 老猫将軍が鬨の声を上げる。そして周囲は猫に包まれた。
 猫たちは自らの爪で身動きの出来なくなったイタクァを引っかいていく。
 始めはたいした傷も見えなかったが、その内に翡翠のような甲殻に皹が入り、所々砕けていく。
 零はその様をただじっと眺めていた。グレネードランチャーなどなら、イタクァにダメージを与えられるかもしれなかったが、この有様では確実に猫を巻き込むからだ。
 そして数分もしないうちにイタクァの巨大な首が掻き取られた。
「終わりましたじゃ」
「……随分とあっけなかったな」
 それは零の正直な感想だった。宣告者とはいえ、猫に一方的にやられる邪神がありえるのか、と。
「寝起きだったこともありますじゃ。本来のように空に飛ばれたらどうしようもないところでしたじゃ」
 なるほど、翼をもがれたら、どんな猛禽類でも大した力を持たないだろう。
「それに、属性の頂点に立つものたちと比べたら、それは力ないのも当然ですじゃ」
「そうなのか…?」
「水のクトゥルフ、火のクトゥグア、風のハスター、土のニャルラトホテプは外なる神(アウターゴッド)と呼ばれる別格ですじゃ。後は父なるアザトースや母なるシュブ=ニグラス、門にして鍵のヨグ=ソトースなどですが、これらは味方になることも敵になることも多分ないですじゃ」
 その内、零は二つの力を目にしている、といっても夢の中でだが。しかし、あの二体を邪神の基本として考えなくていいのならば、少しは気が楽になる。
「ですが、今言ったものたちを倒すには古い神の力が必要ですじゃ。まあ、その内の二柱、クトゥグアとハスターは味方と考えても良いかも知れませぬが……。ニャルラトホテプやクトゥルフを倒すには原初の力が必要なことを覚えておいて欲しいのですじゃ」
「原初の力?」
「あれらを倒すのは主神でも厳しいのですじゃ。匹敵するものをあげるならば、ギリシャ神話の母なる大地のガイア、天空のウラヌス、メタトロンとサンダルフォン。アフラ・マズダーやアンラ・マンユといったような神格でないと無理ですじゃ」
「………そんなものたちがこの世に居るのか? 古人の妄想だと思っていたが」
「居なくはないでしょうが、出てくるかはわかりませんじゃ。ですからくれぐれも…」
「わかった、そんなものと出会ったら軽率な行動は控えるよ」
「ありがとうございますじゃ……あなた様はホルス様の予言に拠れば、鍵になるもの。人類の救世主にも、神の敵対者にもなり得る可能性を持ったお人、次会うときに味方であることを祈りますじゃ」
 それだけ告げて、猫たちは引き上げた。
「鍵……か」
 一人、言葉を漏らした零に、ペルセフォネが答える。
「あなたの持つ性質は面白いわ、だからこそ私たちは付いたのだけどね。まあ、遠縁の親戚だっていうのもあるけど…」
「ん…」
「その心は地に立たず、天を駆けない、そして善でもまた、悪でもないの」
 ペルセフォネの言葉に、零は昔、母に教えられた名の由来を思い出した。
「プラスでもマイナスでもない、零……か。それが母が俺に与えてくれた名の意味だったな」
「零?」
「この作戦が終わったら休暇を貰うとしよう。少し、失った一年に未練が出てきた」
「……そうね、じゃあ手早く終わらせましょうか」
 零は本部に戻ろうと踵を返した、と。その前にアンジェに通信を入れなくてはと思う。
 そろそろ完全に日が落ちる。だが、その前に風雲は急を告げていた。
「おや、風模様が……」
 雲が早い、彼方から、黒い曇天が迫ってくる。そもこれは何の予兆たろうかと思った瞬間には、零の眼前に雷光が降って落ちた。
「くっ……!?」
 雷光は爆音を立てて地面を焦がす。ただの雷ではない、落ちた地点には新たな殺気。雷を纏った影。
 そこにいたのは、白いヴァーヘリオン。イタクァの死体の上に降り立ち、青白い雷を身に纏って咆哮する。
「こいつは……ッ?」
「零さん! 大丈夫でありますかっ!?」
 アンジェが駆けつけてくる、零は直感的にペルセフォネをリボルバーに戻した。
「ああ、……こいつはフォーアイか!」
 零は雷の衝撃から持ち直し、軍刀を抜く。
 昔、自分の記憶がない頃の報告書に載っていた存在。
 白い鱗に電気を纏い、赤い目の下にある赤い模様が目のように見えて、四眼という通称を与えられた魔竜。
 群れで生活するヴァーヘリオンとは独立した、単騎の死神。
 イギリスのヨークで行われた大規模作戦では、このフォーアイの乱入によって、宣告者23名を含む甚大な被害を受けたという。
 フォーアイは零を見詰めている。そして、鎌首を擡げた。その瞬間、天が光る。
 零は咄嗟に軍刀を大地に突き刺し、アンジェを庇って転がった。
 雷光、遅れて爆音。
 避雷針となった軍刀は柄が砕け、刃の部分は赤熱して上部が溶けている。
 あと一秒でも遅かったら、という嫌な想像が汗となって零の頬を伝った。
「アンジェ、立てるか」
 胸の中にいたアンジェを解放し、声をかける。
「あ、大丈夫でありますっ」
「刀はもう駄目だな、佐田少尉からACESの入隊祝いに頂いたものだったのだが……」
 まあ、特に愛着があったわけでもない。ただ自分のリミッターにと重りに使っていただけだ。
「退くぞ、アンジェ」
「あ、はいっ!」
 零は重武装のアンジェから迫撃砲を引っ手繰り、フォーアイに向けて放つ。
 恐らく、直撃。しかし眷属である以上、雷で盾を作っていたりしてもおかしくはない。
 だから無論、あの死神がこんなもので死ぬとは思っていない、が。十分煙幕の代わりにはなる。
 爆煙の中、零は迫撃砲を投げ捨ててアンジェの手を取った。
「撤収…っ!」
「了解でありますっ」


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| 小説 | 23:17 | トラックバック:0コメント:0
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