スノウイーターまるきゅー、もしくは雪食うバカです。           エロゲ東方FPS、仄かに漂う厨二臭

SnowEater⑨

Sign:024 執行者 | main | Sign:022 不知火
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Sign:023 未知なる夢



 ウルタール駐留四日目の朝、白井零は街の神殿の高台に居た。
 街を一望できる高台の縁に座り込み、赤土の大地を眺める。
 足元では多くの猫が至極リラックスした様子で寛いでいる。
「今日は微風だな、しかし……悪くない」
 風の少ない日というのは、狙撃者にとっては最高の日でもある。面倒な計算を余りしなくて済むし、なによりも着弾地点がズレないからだ。
「ふ、空が青い。こんな日は昼寝でもするのが一番かな?」
 傍らの猫に尋ねるが反応は無い。そんなことはあたりまえだとでもいいたそうだ。
 零はここ数日で一番気に入った白い雌の猫を膝の上に抱え上げた。この猫は毛並みがよく、小さいために子猫のようにも見えるが、随分と落ち着いていた。もっとも、ウルタールでは平常時に騒がしい猫など出会った事は無く。皆一様に猫らしく気ままに過ごしている。
 膝の上に乗せられても猫は動じる風も無く、零が首の下を撫でても意にも介さずに自分の前足を舐め続けていた。
「お前は何だか気難しい姫様のようだな」
 零はこの猫を「姫」と呼ぶ事に決定した。この街の住民はこの猫を何と呼んでいたのだろうか? と零は思う、ウルタールには首輪を付けた猫も多いが、この猫には首輪は付いていなかったのだ。
「姫、お腹をお撫でいたしましょう」
 零が恭しく手を翳すと、猫はその言葉を理解しているのか、自ら仰向けになった。
「そう言えば、アンジェがウルタールの猫は人語を解すると言っていたな…」
 もうどんな不思議にも慣れっこだった。自分の銃は喋るは、女神を名乗るわ、変身するわでやりたい放題だし。自分も普通の人間には出来ないような事が出来る。それに仲間の宣告者なんかを見てると、すごくどうでも良くなるのだった。
「今日は午前で切り上げて昼寝でもするか……夜は見張りをやるし、どこかオススメのスポットを教えてくれるか?」
 零は猫たちに尋ねた。しかし、相変わらず返事は無いままだ。



Sign023 未知なる夢



 零は朝の鍛錬を終えて汗を流した後に遅めの朝食をとっていた。すると、表通りの方から息を切らし、早足で若い軍人が近付いてくる。
「た、隊長っ!」
 零は、その軍人の様子を何事か、と横目で見ていたが。紅茶を一杯啜ってようやく向き直った。
「どうした……落ち着け、リーアン伍長」
「あの、ウェンディゴの群れが、こちらに!」
 ウェンディゴの群れ、と若い軍人は言う。ここに来てから、大抵の敵はウェンディゴと呼ばれる人間のような体つきの2mほどの巨人だった。
 曰く、イタクァの眷族であり、イタクァに攫われて高空に適応した人間らしいが、どうやらイタクァと一緒に眠っていたようなのだ。
 しかし、そんなものの襲撃は零にとっては些事だった。
「なんだ、そんなことか……アンジェを見張りに付けているのだからそんなことは事後報告でいい。ヴァーヘリオンの群れと言うならまだしも」
 アンジェならばそんなことで一々、零の朝食の時間を割いたりはしないだろう。誰もそこまでは求めていないが、そんな気がする。
「ですが……」
「第一防衛ラインにまで迫ってきたら知らせてくれればいい。宣告者の力を信じろ」
 お世辞にも旨いとは言えない支給のベーグルを自前の紅茶で流し込んで、零は席を立った。
「あの、隊長はどちらに?」
「……少し早いが昼寝だ、何かあれば猫を探せ」



Dream.



 夢を見ている。
 これは夢なのか、それとも過去の記憶なのだろうか。
 夢は記憶をランダムに組み合わせて再生するというが、そんなチグハグ感は無い。
 だってこれは、もし記憶だとしたら。それは知らない筈の記憶だからだろうか。
 自分が記憶を失った時のことはよく覚えている。
 あの日、自分用に改修された過去の鹵獲機のテストを行っていた。
 F-16ファイティングファルコンのソウファを改修した空戦機。大日本帝国陸軍内の呼称では「白日(はくじつ)」と言っただろうか。
 高度2000を保って加速を続け、そして。
 目が覚めたら、あのエンダージュの集合団地に居たのだ。
 しかし、この夢は、自分の知らない自分を映している。
 この空はどこのものだろう。人類未到達の灰色の空。
 見たことも無い生物が徘徊する山頂の洞穴。
 その洞穴を抜けて、荒れ果てた川を越え、夜闇のような暗き木立を抜ける。
 一気に広がる視界。目の前には美しい高原が広がっていた。
 自分は迷うことなく先を目指している。
 高原の先には凍った大地があり、更に先には峻嶮な山脈が連なる。
 やがて現れた縞瑪瑙の城を越えて。
 自分はそこに辿り着いた。
 いや、出会ったと言ったほうが正しいのだろうか。
 それは存在とすれば邪神なのだろう。
 しかし、門でもあるし、また、鍵でもある。
 自分は邪神の胎内たる虹色に妖しく輝く球体に、その足を踏み込んだ。



 ――――そして目が覚める。
「ん、………」
 頭がズキズキと痛む。アリアドネが抑えている筈の右目が、仄かな熱を持っている。
「零、大丈夫?」
 寝る前に外して置いておいたペルセフォネが心配そうに声をかけてくる。
「ああ、問題ない。……記憶を少し取り戻した」
 あれが、夢ではなく本当に自分の記憶だとしたらだが。と零は自嘲気味に笑った。
「……そう」
「母の文献によれば、あそこは……幻夢郷(ドリームランド)とかいったか。広大なレン高原に、凍てつく荒野のカダス、縞瑪瑙の城の先に―――」
 ヨグ=ソトースが居た。あれが真に零の記憶ならば、零が始めて出会っていた邪神はクァチル=ウタヌスではない。あらゆる時空と隣接する門にして鍵、ヨグ=ソトースだ。
「あれに、触れたのか………俺は?」
 しかし、まだわからないことは多い。
 ヨグ=ソトースの力を使ってまで、自分が目指していた場所はどこなのだろうか、という事だ。
 しかし、そんな思案をさせてくれる余裕も無く、街にはアラートが鳴り響いた。
「ちっ……寝起きだというのに」
 時刻は昼前、アンジェはもう引き継ぎの見張りに変わっている頃だろう。
 零は飛び起きて臨時司令部に駆けた。


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