スノウイーターまるきゅー、もしくは雪食うバカです。           エロゲ東方FPS、仄かに漂う厨二臭

SnowEater⑨

Sign:026 霊廟 | main | Sign:024 執行者
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 | --:-- |
Sign:025 敵性なきもの



「そこの男、仕事帰りか?」
 零は敵の効果範囲を見定めつつ、わざと大きく足音を立てる。
 ペルセフォネは大型のオートマチックのまま、肩に乗せてジリジリと距離を詰める。
「ん……?」
 男は、まるで初めからその接近を予知していたかのように、悠々と振り返った。
「人間か…、興味は無いな」
 そして、本当に興味無さげに視線を逸らす、まるで脅威とも感じていないかのように。
「焦げた人間の腕には興味あるのに、か?」
 まだ、その男は焦げた腕を抱えていた。おそらく、あの偵察兵のものだろう。
「ああ、これももう飽いた…。欲しいのなら返そうか?」
「うちの宣告者は再生能力だからな……一から再生よりは元があった方が良いかも知れん」
 そこで零は銃を構えた。
「ま、元々殺してでも奪い取るつもりだがな」
「やはり宣告者が居たか、それも再生能力ということは大した戦力ではあるまいな。仕事がしやすくて助かることだ」
「まさか、お前よりは強いだろうさ。俺の相棒になってもらう予定なのだからな」
「成る程……人間が、身の程を知らんか」
 キュゴッ!
 風が生暖かく、逆巻く。
「(く、もう既に効果圏内か…)」



Sign025 敵性なきもの



 零は瞬間的に身を逸らした。
 左腕のみが逆巻く風の中に取り残され、爆ぜる。
 キュボッ!!
「くっ…!!」
 強烈な痛みが零を襲う。しかし次の瞬間には右目から鈴の音。痛みは掻き消えた。
 零はしかめっ面で焼失した左腕を眺めた。切断されてはいないことから、恐らく肉体全てを焼き焦がすつもりだったのだろう。
「まったく、奇天烈な能力だな。発動の予兆があるだけありがたいが…」
 逆巻く風、それこそが範囲指定なのだろう。零が風に過敏な性質なのは幸いした。
「人間、ヤク中か? 今の時代の軍人では珍しくないのかもな」
「……? 何の話だ…」
「普通、腕が焦がされて激痛に身を捩らぬ人間は居らん」
 零は苦笑した、人間からもっとも離れた人間たる執行者に普通の人間を説かれるとは、と。
「ま、この希望の無い世界では薬漬けも珍しくないか」
 零は右腕のみでペルセフォネを構えた。
「薬は使ってないのか…?」
「脳内麻薬みたいなもんは使ってるけどな」
 今もアリアドネが痛覚を縛ってくれていなければ歯を食いしばっているだろう。
「……その眼、なるほど。常人では無いようだな」
「やっと気がついたか、執行者」
「しかしな、左手の欠けた者を敵性とはできん…」
 ゆっくりと、男が視線を合わせる。
「ただの……ゴミだ」
 するっと、まるで滑るように男は高速で移動する。
 零は直感的に飛び退くが、しかし遅い。拳銃を構えた零の周囲を、生暖かい風が包み込む。
 逃れられない!? そう思い至った瞬間だった。
 その距離を稼ぐように、四足獣が零に飛びついて押し倒す。
「…む?」
 零が地面に伏せる音に、怪訝そうな男の声が重なった。それは避けられたからではなく、疑問が発生したというような感じだ。
「何故、爆ぜぬ……猫」
 男の双眸が、零よりも猫を敵として認識する。
 その言葉と殺気の解答とするように、零の上に乗った猫は姿を変えた。
 赤い髪が映える、包帯ぐるぐる巻きの女性の姿に。
「―――にゃっはっは」
 馬乗りになった状態から離れ、女性が男に対する。その頭にはぴょこんと猫の耳が生えていた。



「私は生きることに体液を必要としないから―――神だからにゃ」
「成る程、敵性なきもの……ウルタールのバステトか」
 バステト、その名には零にも思い当たる節がある。
 かつて遠い昔、歴史から葬り去られたファラオ、ネフレン=カがエジプトを統治していた時代。
 黒き貌のニャルラトホテプや鰐神セベクと共にブバスティスで崇拝されていた神、半獣半神の猫神バステト。
 元々は違う神だったが、あまりにも無敵で凶暴で不死身だった故に、神々に存在を変質され、敵意というものを奪われたウルタールの守り神だ。
「だが、敵性を持たぬ神など、居ないも同じこと……そこを退け」
「おいおい邪神の使いの人間よ、下がるのはそっちのほうにゃ。この人間は一応人類の希望、やりたかにゃいけど、今は太陽が真上に出てる時間だにゃ」
「……それがなんだと?」
「ホルスを呼ばれて自分が焦がされたくにゃきゃ、夜に出てくるのが身のためにゃ」
 男が太陽を仰ぎ見た。真昼の太陽、その輝きは世界が暗澹としてからも変わらぬままだ。
「なるほど……ではこちらが退くか」
 そう呟いて、初めて男は意思あって零を見た。
「次は夜に会おう。宣告者の命さえあればこちらはそれ以上の殺生を求めるつもりは無い。たった一人の異能者の命と部隊全体の命……お前が天秤にかけるといい」
「…………」
 それだけを告げて、男は背を向ける。
「おっと、これを忘れていた」
 しかし、思い出したかのように振り返り、掴んでいた焦げた腕を零に投げつけた。
「…ではな人間、次も神に救われることを祈っていろ」

「にゃはは、随分と酷くやられたもんだにゃ」
「この程度の傷、一瞬で直せるさ」
 再生力の時間を進めれば、大抵の怪我や傷は修復してしまう。しかし、猫は微妙そうな顔をした。
「火傷ってのは再生しにくいもんだにゃ、私も不死身だからよく知ってる」
「そうなのか?」
「あくまでも理不尽な呪いや加護ではない、自然再生力が高い場合は、って話だけどにゃ」
 零の再生力は、自身の新陳代謝の加速、つまりは自然回復だよりということになる。
「それは困ったな……」
 流石に左手の無い状態では戦闘に支障が出る、どちらかというと、この痛みを抑えているがためにアリアドネの力が十全には使えないという意味合いが強いが。
「私の神殿に来るといいにゃ、猫達の力とあの少女の力を使えば一日とかからず再生できるだろうにゃ」
「アンジェのことを知っているのか?」
 零が問うと、バステトはニヤリと笑った。
「あの子はこのウルタールの出身だにゃ。それにあの子に信託を与えたのは――――私にゃのだぜ?」
スポンサーサイト
| 小説 | 05:10 | トラックバック:0コメント:0
コメント
コメントする














管理者にだけ表示を許可する

この記事のトラックバックURL
http://r02100210.blog104.fc2.com/tb.php/673-f3ffbdda
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック
| ホーム |

プロフィール

レン

Author:レン
年齢:19歳
性別:男
Ability:器用貧乏
宗派:少女臭派
メール:rei-rosthearthotmail.co.jp
MSNメッセ、スカイプもやってます。
Twitterは「ibarakasen0210」
嫁:台場カノン

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター

フリーエリア

サイトパワー 検索エンジン

ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。